ANSERA JOURNAL
港区の街
六本木五丁目西地区再開発で資産価値はどう変わる?鳥居坂・麻布十番の高級マンション5棟を分析
六本木五丁目西地区再開発によって、鳥居坂・麻布十番・三田1丁目の高級マンションはどう変わるのか。都市計画、歩行者動線、新築住宅との競争、物件ごとの希少性からAnseraが分析します。
六本木の街を大きく変える可能性がある「六本木五丁目西地区第一種市街地再開発事業」。
約9.2haの施行地区に、オフィス、住宅、ホテル、商業施設などを備えた大規模複合開発が計画されています。
A-1街区には高さ327m・地上66階の超高層棟、B街区には高さ288m・地上70階の共同住宅を中心とした超高層棟が計画されています。東京都が公表している計画では、B街区の延床面積だけでも約23万9,100㎡に及びます。
さらにA-1街区の最上層部には、東京初進出となるラグジュアリーホテル「Rosewood Tokyo」の開業も決定。約200室の客室、レストラン、スパなどが計画されています。

しかし、不動産の観点から今回の再開発を見る場合、「六本木に大型再開発ができるから、周辺マンションがすべて値上がりする」
と考えるのは少し単純です。
Anseraが注目しているのは、建物の高さや規模そのものではありません。
重要なのは、六本木駅から鳥居坂、麻布十番、新一の橋へと続く街のつながり方が変わること。
そして、その新しい都市構造の中で、既存の高級マンションがどのような立ち位置になるのかです。六本木五丁目西地区は「六本木駅前だけ」の再開発ではない
今回の再開発では、駅まち広場、交通結節広場、新しい道路、緑地、地下・地上の歩行者通路など、建物以外の都市基盤も大規模に整備されます。
具体的には、以下が計画されています。
- 約4,600㎡の駅まち広場
- 約4,100㎡と約1,700㎡の交通結節広場
- 幅員17~18m、延長約330mの地区幹線道路
- 最大約430mに及ぶ歩行者通路
- 約6,700㎡、約1万㎡の緑地
六本木駅についても、地下鉄駅と街を接続し、地区南側へ人を流す新しい歩行者ネットワークが計画されています。
そして、都市計画資料の中には非常に重要な記述があります。
「麻布十番方面からの玄関口として、人の流れを受け止め、にぎわいを創出する広場を整備する」
という方針です。
つまり今回の再開発は、
六本木駅 → 六本木五丁目 → 鳥居坂 → 麻布十番
という街のつながりを意識した都市計画でもあるのです。
ここを理解すると、注目すべき既存マンションも変わってきます。

1.パークマンション鳥居坂
最新の超高層住宅ができても競合しにくい「低層邸宅」まず注目したいの「パークマンション鳥居坂」です。
所在地は港区六本木5丁目14-31。
2022年11月竣工、地上6階・地下2階、総戸数わずか25戸という三井不動産レジデンシャルの最高級分譲マンションです。麻布十番駅徒歩3分、六本木駅徒歩10分という立地にあります。
この物件の強さは、六本木五丁目西地区にどれだけ豪華な住宅が誕生しても、住宅としての性格がほとんど競合しないことです。
B街区に計画されているのは高さ288m・70階の超高層住宅。
一方、パークマンション鳥居坂はわずか25戸の低層邸宅です。
つまり、
「最新の超高層複合開発に住みたい富裕層」
と、
「再開発の都市機能は利用したいが、自宅は静かな低層住宅がいい富裕層」
では、そもそも求めている住宅が違います。
再開発が大規模になればなるほど、逆にこの違いが明確になる可能性があります。
全住戸100㎡以上で構成され、24時間有人管理やコンシェルジュ、バトラーサービスなどを備えていることも、高額帯の住宅として重要なポイントです。
Anseraの見方
六本木五丁目西地区完成後も、
「巨大再開発のすぐ近くに住みながら、自宅は25戸しかない低層邸宅」
という希少性は残ります。
むしろ今回の再開発で最も注目すべき既存分譲マンションの一つだと考えています。
ただし、超高層棟の建設による眺望や周辺環境への影響については、階数・方角ごとの確認が必要です。

2.フォレストテラス鳥居坂
「平均約160㎡」という住戸サイズ自体が希少価値になる
次に注目したいのが「フォレストテラス鳥居坂」です。
所在地は六本木5丁目12-7。
森ビルが開発し、2015年に竣工した地上8階・地下2階、総戸数53戸の高級レジデンスです。
最大の特徴は住戸の大きさです。
専有面積は85.33㎡~286.89㎡。
3BRを中心に、**平均専有面積は約160㎡**あります。駐車場についても53戸に対して74台が整備されています。
これは今後の六本木を考えるうえで、かなり重要な条件です。
都心の新築住宅価格が上昇すると、専有面積を抑えることで販売価格を調整するケースも増えます。
その中で、
150~200㎡級の既存住宅そのものが希少商品になる
可能性があります。
また、バイリンガル対応のフロントサービス、ポーター兼ドアマン、24時間365日の常駐警備など、外国人エグゼクティブとの相性も非常に良い住宅です。
Anseraの見方
六本木五丁目西地区が完成すると、
これまでの
「六本木ヒルズと麻布十番に近い静かな高級住宅」
という立ち位置から、
「東京を代表する巨大複合開発に隣接した、大型低層レジデンス」
というポジションへ変わる可能性があります。
一方で、B街区の新しい住宅も外国人就業者・居住者を意識した国際水準の住宅として計画されています。
そのため高額賃貸市場では、新築住宅との競争も発生します。
将来的には、
B街区の新築プレミアム
VS
フォレストテラス鳥居坂の大型住戸・低層・静かな住環境
という比較になる可能性があります。

3.パークコート麻布十番 ザ タワー
「三田1丁目」ではなく六本木・麻布十番生活圏として考える
六本木五丁目西地区から少し南へ行くと、麻布十番を代表するタワーマンションがあります。「パークコート麻布十番 ザ タワー」です。
所在地は港区三田1丁目7-1。
2010年竣工、地上36階・地下1階、総戸数440戸。三井不動産レジデンシャルなどが分譲した大規模タワーマンションです。
住所だけを見れば「三田1丁目」。
しかし不動産の価値を考える場合、行政上の住所よりも実際の生活圏を見る必要があります。
今回の都市計画では麻布十番方面への玄関口が整備され、六本木駅側から地区南側へ新しい歩行者ネットワークが形成されます。
さらに関連事業として、新一の橋交差点の改良も予定されています。
2026年6月時点の準備組合資料では、2027年度から2032年度までの工事予定とされています。なお、事業スケジュール自体は現在見直し中と明記されています。
Anseraの見方
六本木五丁目、鳥居坂、麻布十番のつながりが改善すれば、
パークコート麻布十番 ザ タワーも、
「三田1丁目のマンション」ではなく、「麻布十番・六本木生活圏の大型タワー」
としての評価が強まる可能性があります。
ただし再開発完成予定時には築20年を超えます。
最新のB街区住宅と設備や共用施設だけで競争するのは難しくなる可能性があります。
そのため将来的には、
- 高層階
- 眺望
- 角住戸
- 大型住戸
- 室内リノベーション
といった住戸ごとの商品力が現在以上に重要になると考えます。

4.シティタワー麻布十番
エリアの恩恵は受けても「全住戸が同じように上がる」とは限らない
パークコート麻布十番 ザ タワーに隣接する代表的なタワーマンションが「シティタワー麻布十番」です。
所在地は三田1丁目6-3。
2009年竣工、地上38階・地下2階、総戸数502戸。住友不動産が分譲した大規模タワーマンションです。こちらも六本木五丁目西地区から麻布十番、新一の橋へ続く都市動線改善の恩恵を受ける可能性があります。
ただし、パークマンション鳥居坂のような25戸の希少な低層住宅とは性質が異なります。
500戸を超えるマンションだからこそ、
マンション全体の相場以上に「住戸ごとの差」が重要になる
と考えます。
Anseraの見方
今後評価されやすいのは、
- 東京タワーなど象徴的な眺望
- 高層階
- 角住戸
- 大型住戸
- 駐車場条件
- 高品質なリノベーション
など、「その住戸でなければならない理由」を持つ部屋です。
逆に、同じ建物の中に類似住戸が多い場合は、新しい超高級住宅との価格差について慎重に判断する必要があります。
再開発によるエリア価値上昇と、新築住宅との商品競争。
この二つが同時に起きる可能性があるマンションだと考えています。

5.六本木ヒルズレジデンス
築年数では測れない「街そのもの」の価値
そして六本木五丁目西地区を考えるうえで外せないのが「六本木ヒルズレジデンス」です。
2003年竣工。
A棟35戸、B棟333戸、C棟198戸で構成され、六本木駅だけでなく麻布十番駅も徒歩圏にあります。再開発完成予定の2032年度には築約30年になります。
通常のマンションであれば、築年数は大きなマイナス要因になります。
しかし六本木ヒルズレジデンスには他のマンションとは異なる特徴があります。
それは、
「マンション単体ではなく、六本木ヒルズという街の中に住む」
という価値です。
六本木ヒルズには住宅だけでなく、オフィス、ホテル、商業、レストラン、文化施設、フィットネス、セキュリティなどが集積しています。
この都市サービスを簡単に再現することはできません。
Anseraの見方
六本木五丁目西地区ができることで、
「新しい六本木五丁目」と「古い六本木ヒルズ」が競争する、
という単純な構図にはならないと考えています。
むしろ、
六本木ヒルズ
↓
六本木五丁目西地区
↓
鳥居坂
↓
麻布十番
という高級都市軸が形成されることで、六本木・麻布エリア全体の国際的な住宅ブランドがさらに強まる可能性があります。
一方で築年数は無視できません。
今後は、
- 大型住戸
- 眺望
- リノベーション
- 駐車場
- 棟や階数
による住戸間格差が、現在以上に広がる可能性があります。
六本木五丁目西地区で最も注目したいのは「B街区」
今回の再開発を既存マンションとの関係から見る場合、A-1街区の高さ327mのタワー以上に重要なのが、住宅を中心とするB街区です。
計画上は、
高さ288m
地上70階・地下5階
延床面積約239,100㎡
主要用途:共同住宅・店舗・事務所・駐車場等
という非常に大規模な住宅プロジェクトです。

ただし、2026年9月現在、東京都の正式な再開発事業ページでは**住宅戸数は「未定」**となっています。
したがって、現段階で住宅の販売価格、賃料、住戸面積、分譲・賃貸の構成などを断定することはできません。
逆に言えば、
これらの情報が発表された時が、周辺高級マンションの評価を見直す重要なタイミング
になります。
「Rosewood Tokyo」が六本木のブランドをもう一段引き上げる可能性
もう一つ無視できないのが「Rosewood Tokyo」です。
森ビルと住友不動産は2026年5月、A-1街区の高さ約330mのメインタワー最上層部へRosewoodを誘致することを発表しました。
東京では初のRosewoodブランドとなり、約200室の客室、レストラン、宴会場、スパなどが計画されています。
不動産価格がRosewoodの進出だけで上昇するわけではありません。
重要なのは、六本木五丁目という場所が、国内向けの高級住宅地から、海外富裕層にも理解されるグローバルラグジュアリーエリアへ近づくことです。
その場合、恩恵を受けやすいのは単純に再開発へ近いマンションではありません。
外国人経営者や富裕層が比較検討した際に、
「新築でなくても、この物件を選びたい理由がある住宅」
です。
再開発で既存マンションが一律に値上がりするとは考えない
ここは重要です。
六本木五丁目西地区再開発は周辺不動産にとって大きなプラス材料ですが、同時に東京最高水準になる可能性のある新しい住宅供給も発生します。
つまり、
エリア価値の上昇
と、
新築との競争激化
が同時に起こります。
そのため2030年代に強い既存マンションは、
単純に「六本木・麻布十番にあるマンション」ではなく、
- 低層住宅としての希少性
- 100~150㎡を超える大型住戸
- 圧倒的な眺望
- 大型車対応の駐車場
- 高いセキュリティ
- 外国人対応
- ホテルライクなサービス
- 世界的に認知されたブランド
など、新築が登場しても代替されにくい価値を持つ住宅になると考えています。
Anseraが考える、今後最も重要なエリアは「鳥居坂」
今回の再開発を地図と都市計画の両方から確認すると、Anseraが特に注目したいのは鳥居坂です。
理由は単純に再開発へ近いからではありません。
六本木駅側では巨大なオフィス・ホテル・商業・文化機能が整備される一方、
南側には高級住宅、緑地、歩行者空間が配置され、さらに麻布十番方面への玄関口が整備されます。その間に位置するのが鳥居坂です。
したがって、
パークマンション鳥居坂
フォレストテラス鳥居坂
の2物件は、
「六本木と麻布十番の間にある住宅」
から、
「新しい六本木と麻布十番の両方を利用できる高級住宅」
へと立ち位置が変化する可能性があります。
ここは今後の成約価格・募集賃料・外国人需要を継続して追う価値があると考えています。
まとめ
六本木五丁目西地区は「六本木の再開発」だけではない
六本木五丁目西地区再開発を、
「高さ327mの超高層ビルができる」
というニュースだけで見ると、本当の不動産への影響を見落としてしまいます。
今回の計画で重要なのは、六本木駅から鳥居坂、麻布十番へと続く都市構造そのものが変わること。その結果、パークマンション鳥居坂やフォレストテラス鳥居坂だけでなく、パークコート麻布十番 ザ タワー、シティタワー麻布十番、六本木ヒルズレジデンスまで含めた広い範囲で、住宅の評価基準が変化する可能性があります。
ただし、
「再開発=周辺マンションがすべて値上がりする」わけではありません。
むしろ最新の超高級住宅が供給されることで、
既存マンションの中でも「本当に希少性のある物件・住戸」と、それ以外との差が広がっていく可能性がある。
これがAnseraの現時点での見方です。
六本木五丁目西地区については、今後B街区の住宅詳細や販売・賃貸条件が明らかになるにつれて、周辺高級マンションへの影響もさらに具体的に分析できるようになります。
Anseraでは今後も、再開発の進捗だけでなく、周辺マンションの売買価格・賃料・在庫・外国人需要まで含めて継続的に検証していきます。
※本記事は2026年9月時点で公表されている都市計画・事業者資料等をもとに作成しています。計画・スケジュール等は今後変更される可能性があります。2026年6月公表の準備組合資料では、組合設立認可を2026年度、権利変換計画認可・工事着手を2027年度、工事完了を2032年度とする参考スケジュールが示されていますが、「事業進捗等を踏まえ見直し中」とされています。
