ANSERA REALTY

ANSERA JOURNAL

不動産ニュース

公開日
最終更新日
執筆・監修
株式会社Ansera

「事故物件あり」の港区マンションは本当に値下がりするのか?──マンションリサーチ20棟調査から読む資産価値

==================
0.今日のニュース概要
==================
中古マンションの価格データを扱うマンションリサーチが、
「中古マンションの心理的瑕疵は価格に影響するのか」というレポートを公表しました。

対象:2009〜2021年に心理的瑕疵(自殺・事故死など)が発生した


    港区内の中古マンション20棟

検証したポイント:


 - 事由発生日の「1年前〜発生後3年」までの別住戸の成約価格推移
 - 同期間の売出件数の変化(“売り逃げ”が増えていないか)

一般的には「事故物件ありのマンションは全体の価格も下がる」と思われがちですが、
データから見えてきたのはそれとは逆の結論でした。

==================
1.心理的瑕疵物件と「事故物件あり」表示とは
==================
まず用語を整理します。

心理的瑕疵物件


 ── 自殺・他殺・孤独死・重大事故など、
   過去の出来事が買主・借主に心理的な抵抗感を与えうる物件

事故物件


 ── 一般には心理的瑕疵物件のうち、ポータルサイトなどで
   「事故物件あり」「過去に事件・事故あり」などと表現されるもの

近年は、国土交通省のガイドラインにより、
「どのような死亡事案を、どの程度の期間、告知するべきか」
についての大枠が示されています。
一方で、**「マンション全体の資産価値がどこまで影響を受けるのか」**については、
これまで実データに基づく検証がほとんどありませんでした。

今回の調査は、その空白を埋める試みと言えます。

==================
2.港区20棟の調査方法──“事故があった部屋”ではなく「他の部屋」を見る
==================
マンションリサーチの調査の特徴は、
「心理的瑕疵があった住戸そのもの」ではなく、

> 同じマンション内の“別住戸”の価格と売出件数

だけにフォーカスしている点です。

具体的には、

心理的瑕疵が発生した港区の中古マンション20棟を抽出

事由発生日の1年前〜発生後3年までの4年間を対象期間とし、


 - 別住戸の成約価格の推移
 - 売出件数の推移
を、港区全体の市況と比較しながら分析しています。

つまり、

> 「事故が起きたことで、
>  そのマンションの他の部屋まで安くなったのか?」

という点を、冷静にデータで確認した調査です。

==================
3.調査結果:価格が下がったのは“わずか2棟”だけ
==================
調査結果を一言でまとめると、

> 「事故があっても、同じマンションの他の部屋の価格は
>  ほとんどの場合、相場どおりに動いていた」

というものです。

20棟のうち、心理的瑕疵発生後に価格が下落傾向だったのは**2棟のみ**

この2棟はいずれも1975年以前の築古マンションで、


 元々価格が下がりやすいカテゴリに属していた

残りの大半のマンションでは、


 港区全体の平均価格と同程度のペースで値上がりしていた

また、

心理的瑕疵発生後に売出件数が急増する、


 つまり「事故をきっかけに複数オーナーが一斉に売りに出す」ような動きも確認されず、
 所有者の売却行動に目立った変化は見られなかった

という結果でした。

==================
4.なぜ港区では「心理的瑕疵の影響」が埋もれてしまうのか
==================
2009〜2021年の港区中古マンション市場は、

都心回帰と投資需要の高まり

超低金利環境

再開発の進行(虎ノ門・六本木・赤坂など)



といった追い風を受けて、**強い上昇相場**が続いた期間です。

別のデータでは、
港区の中古マンション70㎡価格が10年で約3倍に達したという分析もあり、
「70㎡=2億円超」が当たり前という水準に到達したことが示されています。

こうした市況のなかでは、

心理的瑕疵というマイナス要因


よりも

エリア・ブランド・再開発・金利といったプラス要因



の方が圧倒的に強く作用し、

> 「マンション全体の価格は、事故の有無より“港区相場”に引っ張られた」

というのが今回の結果の背景にあります。

==================
5.オーナー・購入検討者目線での解釈
==================
この調査結果を、港区の高額マンションオーナー・購入検討者の目線で整理すると、次のようになります。

■(1)「同じマンションだから全部ダメ」という発想はやや行き過ぎ

事故があったという事実だけで、


 同じマンションの別住戸まで一律に評価を下げる必要はない

むしろ、エリア・築年数・管理状況・間取り・眺望といった


 基本スペックの方が価格形成に与える影響は大きい

■(2)一方で「何も気にしなくていい」わけでもない

心理的瑕疵があった住戸そのものは、


 今後も買い手が限定される可能性が高い

事故内容や報道のされ方によっては、


 マンション全体に影響が出るケースも理論上はありうる

■(3)「築年数×心理的瑕疵」の組み合わせには要注意

今回、下落傾向が見られたのは、いずれも築古マンション

築年数が進んで商品性が落ちているところに


 心理的瑕疵が重なると、出口での評価が厳しくなる可能性があります。

==================
6.「心理的瑕疵がある住戸」を持つ/検討する場合の実務ポイント
==================
実務的には、次の3点を押さえておくことが重要です。

■(1)告知義務を軽く考えない

国土交通省のガイドラインで、


 人の死に関する告知の考え方は整理されていますが、
 個別案件ごとの判断は依然として難しい領域です。

売主・貸主としては、


 「どこまで・どう説明するか」を宅建業者や弁護士と事前に協議しておく必要があります。

■(2)帳簿上の利回りだけで判断しない

心理的瑕疵がある住戸は、表面利回りだけを見ると


 “割安で妙味がある”ように見えることがあります。

しかし、再販時の出口の狭さ・賃貸付けの難しさ・


 リフォームコストなどを織り込んで、保守的にシミュレーションすることが大切です。

■(3)同じマンション内の「普通の部屋」のポジションを見る

事故があった住戸ではなく、


 同じマンションの一般住戸の成約事例・賃料事例をしっかり把握することで、
 そのマンション自体のポテンシャルは判断しやすくなります。

港区のように需要の強いエリアでは、


 「マンション自体のポテンシャル」と「個別住戸の事情」を切り分けて考える視点が重要です。

==================
7.まとめ──「事故物件あり」の港区マンションとどう付き合うか
==================
今回のマンションリサーチの調査から見えてきたのは、

港区の中古マンション市場では、


 心理的瑕疵の影響は主に「発生した住戸」にとどまり、
 同じマンション内の別住戸の価格には、
 少なくとも直近20棟のデータでは明確な下押しは見られなかったこと

強い上昇相場のなかでは、


 事故の有無よりもエリア・築年・仕様・管理などの要素が
 価格を決める主役になっていたこと

です。

一方で、心理的瑕疵のある住戸をどう扱うかは、
今もなお慎重さが求められるテーマであり、

説明責任(告知義務)

出口の戦略

長期保有か、早期売却か



といった判断には、専門家の助言が欠かせません。

「事故物件あり」というラベルだけでマンション全体を敬遠するのではなく、
港区というマーケットの強さと、個別住戸の事情を切り分けて冷静に評価すること。

それが、高額マンションが密集する港区で、
資産としてマンションと付き合っていくための現実的なスタンスだと考えます。


掲載内容は公開・更新時点の情報です。募集条件、施設情報、交通情報等は変更される場合があります。

LINE相談する