ANSERA JOURNAL
不動産ニュース
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貸付用不動産の相続税評価が見直しへ──一棟賃貸マンションと不動産小口化商品に迫る「5年ルール」とは
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0.今日のテーマ:貸付用不動産の財産評価見直し
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税理士法人 山田&パートナーズが2025年12月8日に公表したニュースレターでは、
「貸付用不動産の財産評価について-2025年11月政府税制調査会資料より-」
として、政府税制調査会・自民党税制調査会で議論されている
相続税・贈与税の評価見直し案が整理されています。
キーワードは、
貸付用不動産(賃貸用不動産)
一棟賃貸マンション
不動産小口化商品(信託受益権)
相続開始・贈与前5年以内の取得
通常の取引価額(購入価格等)による評価
です。
港区の高級区分マンションオーナーにとっても、
「今後、一棟レジや小口化商品をどう位置づけるか」
を考えるうえで無視できない動きです。
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1.経緯:政府税制調査会で何が議論されたのか
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2025年11月13日、政府税制調査会の専門家会合で、
国税庁が「財産評価を巡る諸問題」という資料を提示しました。
ポイントは大きく3つです。
相続税の節税策として、不動産の「評価圧縮」を利用するスキームが多様化
財産評価基本通達6項(いわゆる“総則6項”)を使った個別対応は、
納税者の予見可能性の観点から限界がある
タワーマンション節税を受けて、居住用区分マンションの評価はすでに見直されたが、
一棟所有の賃貸用マンションや不動産小口化商品は依然として大きな評価差が残っている
この問題意識を踏まえ、
「貸付用不動産の評価ルールそのものを明確化しよう」
という流れになっています。
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2.事例①:一棟賃貸マンションの“駆け込み取得”スキーム
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国税庁資料・山田&パートナーズの解説では、
典型的な例として次のようなケースが紹介されています(数値は要旨)。
被相続人が、相続開始の約2年8か月前に主宰法人から約22億円を借入
その資金で、一棟賃貸マンションを約21億円で取得
相続税申告では、評価通達に基づき、その賃貸マンションを約4.2億円と評価
借入金22億円を全額債務控除し、相続税額を本来想定される水準より大幅に減額
つまり、
「多額の借入で高額な一棟賃貸マンションを購入し、
市場価格と通達評価額の差を利用して相続税を圧縮する」
というスキームです。
このようなやり方は、
通達評価額と時価の乖離が大きい
借入金を使うことで課税ベースをさらに小さくできる
という“構造的な抜け道”を突いたものとして、
国税庁は問題視しています。
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3.事例②:不動産小口化商品(信託受益権)を使った相続税対策
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もう一つの典型例が、不動産小口化商品(信託受益権)を使ったスキームです。
要約すると、
贈与者が販売会社から不動産小口化商品を3,000万円で購入
その信託受益権を、評価通達に基づき約480万円で評価して贈与
受贈者は、贈与後すぐにその信託受益権を販売会社に売却し、
取得価額に近い金額で現金化
という流れです。
見た目は「不動産の贈与」ですが、
実態は「現金3,000万円を渡したのとほぼ同じ」なのに、
評価通達上は480万円しか贈与していないことになり、
贈与税額が大きく圧縮されてしまう構造です。
近年、こうした不動産小口化商品は
「相続税対策向き」「評価が低くなる」といった
セールストークで販売されるケースもあり、
国税庁は明確なルール整備の必要性を示しています。
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4.自民党税調で浮上した「5年ルール」と小口化商品の評価案
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山田&パートナーズのニュースレターによると、
2025年11月下旬の自民党税制調査会では、
貸付用不動産の評価見直し案として、次の2点が議論されたとされています。
(1)相続・贈与前「5年以内」に取得した貸付用不動産
被相続人・贈与者が、相続開始・贈与前5年以内に対価を伴う取引で取得した
一棟賃貸マンションなどの貸付用不動産
→ 評価通達による評価ではなく、
「通常の取引価額に相当する金額」で評価する方向
(2)商品として小口化された貸付用不動産
不動産小口化商品(信託受益権など)
→ 売買実例などを基にした「通常の取引価額(実勢価格)」で評価する方向
ざっくり言えば、
> 「相続直前に購入した一棟賃貸マンションや、不動産小口化商品」は
> 路線価ベースではなく、“購入価格に近い金額”で評価する
という考え方です。
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5.いつからどう変わる可能性があるか(スケジュール感)
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同ニュースレターでは、今後の動きについて、
過去の「区分所有マンション評価見直し(いわゆるタワマン税制)」と同様のプロセスが想定されています。
2025年12月中旬:令和8年度税制改正大綱に、貸付用不動産の評価見直しの方針が盛り込まれる可能性
2026年:パブリック・コメントを経て、財産評価基本通達の改正
改正後:一定時期以降の相続・贈与から新ルールが適用
現時点では「案」の段階で、
最終的な条文や適用開始時期、経過措置はまだ不明です。
しかし、タワーマンション評価の見直しが
大綱に方針が書かれ
翌年に通達改正
その後の相続から適用
という流れで進んだことを踏まえると、
貸付用不動産の評価も、数年スパンで確実に変わっていくと見るのが現実的です。
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6.港区・都心マンションオーナーにとっての意味
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今回の議論は、
一見「一棟賃貸マンションや不動産小口化商品の話」に見えますが、
港区・都心の高級区分オーナーにとっても重要なサインです。
■(1)“評価差ありき”の相続税対策は縮小方向へ
タワマン節税に続き、貸付用不動産・小口化商品と、
相続税評価が低くなりやすい資産ほど、ルールが整備されつつあります。
今後は、
「いかに評価差を狙うか」よりも
「どの資産をどの名義で、どのくらいの税負担で承継するか」
という設計の方が重要になっていきます。
■(2)一棟レジやレジファンドに投資するオーナーへの影響
1〜20億レンジの区分に加え、
一棟レジや不動産ファンド・小口化商品に投資している方は、
相続・贈与前5年以内の取得について特に注意が必要になる可能性があります。
■(3)「港区の区分+他エリアの一棟+小口商品」という組み合わせ
実務上よく見られるポートフォリオです。
将来の相続時に、どの資産が新ルールの対象になるのか、
「取得時期」「用途(貸付用不動産かどうか)」を整理しておくことが大切です。
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7.いま考えておきたい3つのチェックポイント
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具体的な税制改正が決まる前の“今”だからこそ、
次の3点だけは整理しておくことをおすすめします。
(1)自分の資産の「棚卸し」をする
居住用区分マンション
賃貸用区分(貸付用不動産)
一棟賃貸マンション
不動産小口化商品(信託受益権など)
を切り分け、取得時期・取得価額を一覧化しておきます。
(2)「5年以内取得」にあたる・あたりそうな資産を把握する
相続・贈与を想定している時期から逆算して、
過去・今後5年以内の取得がどれに該当するかを確認。
一棟レジや小口商品については、
「評価差を前提にした相続税対策」が通用しない前提で検討した方が安全です。
(3)税理士・専門家とのコミュニケーションを早めに
本記事は報道・専門家解説に基づく一般的な情報整理に過ぎません。
具体的な相続税額シミュレーションや組み換え案は、
必ず顧問税理士・相続税に強い専門家に相談する必要があります。
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8.まとめ──「貸付用不動産の財産評価」見直しは何を意味するか
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政府税制調査会・自民党税調では、
一棟賃貸マンションや不動産小口化商品といった貸付用不動産を対象に、
「相続・贈与前5年以内の取得は購入価格に近い価額で評価する」
という方向性が議論されています。
これは、「路線価ベースの評価差を利用した過度な相続税対策」を
抑制するための大きな一歩です。
港区・都心の高級マンションオーナーにとっては、
「評価差ありき」から「きちんと価値のある不動産を、
納得できる税負担でどう引き継ぐか」という発想への転換を迫る動きとも言えます。
制度改正は数年がかりで進みますが、
方向性はすでに明確になりつつあります。
これからの相続・資産戦略では、
> どの物件を長期保有し、どの物件でリスクを取るのか
> 現金・株式・不動産のバランスをどう設計するのか
を、税制の変化も織り込みながら
早めに整理しておくことが重要になっていきます。
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